障害年金について

「障害年金」は、「国民年金法」と「厚生年金保険法」で定まっている公的年金です。65歳以上からもらえる「老齢年金」も公的年金になります。他に「遺族年金」も公的年金の一つです。請求してはじめて支給されるもので、制度を知らずに請求していないケースが多いという現状があります。

障害年金って何?

病気やケガで生活や仕事に支障が出るなど、万が一の時に使える保険というイメージです。
特に、厚生年金は、厚生年金保険法という名前からも「保険」という考え方があることが分かります。給料から天引きされる、月々の社会保険料の金額や支払い期間などにより支給額も変わってきます。
一方、国民年金は、国民年金法という法律に基づいて支給されます。厚生年金とは違って、「保険法」とは言い切っておりません。というのも、一部、生まれつきの障害などで20歳前に初診日がある人に対する福祉的な年金(以下、「20歳前障害の障害基礎年金」)も含まれているからです。但し、「20歳前障害の障害基礎年金」は、本人の前年の所得が一定額を超えた場合など、特有の支給制限があります。

どんな人が対象?

障害年金の対象となる人は、下記のとおりです。
・国民年金の被保険者(自営業者、学生、専業主婦など)
・国民年金に加入していた国内居住の60歳以上65歳未満の被保険者であった人
・厚生年金保険の被保険者(サラリーマンなど)

上記の方々が、障害状態になった時、一定の要件を満たした場合に支給されます。
また、生まれつきの障害などで、被保険者になったことのない人も20歳を超えると支給対象になり得ます。
→つまり若くても支給され、20歳以上64歳までの人が原則として請求できます。
詳細は、支給要件などで記載していきます。

障害年金の種類

障害基礎年金(国民年金)障害厚生年金(厚生年金保険)があります。
障害基礎年金になるか、障害厚生年金になるかは、初診日(※)にどの年金に加入していたかによって異なります。
初診日に国民年金の被保険者であった方→障害基礎年金(国民年金)の支給対象
初診日に厚生年金の被保険者であった方→障害厚生年金(国民年金・厚生年金保険)の支給対象
なお、厚生年金加入者には障害手当金というものもありますが、これは年金ではなく一時金になります。

(※)初診日
障害の原因となった傷病について、はじめて医師または歯科医師の診療を受けた日
【初診日の例】
・初めて診療を受けた日
傷病名が確定しておらず、異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
・先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日
・過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日

どんな病気が対象?

ほぼすべての傷病で支給されます。障害の程度はおおむね下記のとおりです。(身体障害者手帳の等級とは異なります。)
【1級】 日常生活で他人の介助が必要な状態。活動範囲がほぼベット周辺に限られるもの。
【2級】 必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難。活動範囲がほぼ家の中に限られるもの。
【3級】 働くことに著しい制限がある。できる仕事が限られる状態。
障害手当金 「傷病が治ったもの」であって、働くことに制限がある状態。
障害認定基準より詳細を確認することができます。

初診日に国民年金加入者等1級または2級が対象です。
初診日に厚生年金加入者1級~3級、障害手当金が対象です。障害手当金は年金ではなく一時金になります。

支給金額(令和3年度)

初診日に国民年金加入者等=障害基礎年金が支給されます。
初診日に厚生年金加入者=障害基礎年金+障害厚生年金が支給されます。

【1級】
障害基礎年金(国民年金)=976,125円(+子の加算 ※ )
障害厚生年金(厚生年金)=報酬比例の年金額(※)×1.25(+配偶者の加給年金224,700円(要件あり))
【2級】
障害基礎年金(国民年金)=780,900円(+子の加算)
障害厚生年金(厚生年金)=報酬比例の年金額(※)(+配偶者の加給年金224,700円(要件あり))
【3級】
障害厚生年金(厚生年金)=報酬比例の年金額(※)・・・最低保障額 585,700円

(※)子の加算額
18歳に達した最初の年度末までの子か、20歳未満で障害等級1級・2級の子がいる時に加算
2人まで 1人につき224,700円
3人目以降 1人につき74,900円

(※)報酬比例の年金額の計算方法について
報酬比例部分=A+B
A 平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額(※)×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
B 平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額 (※) ×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
【計算にあたっての留意点など】
・AとBの合計の加入月数が300月未満の時→300月として計算
・障害認定日の翌月以降の加入月数はノーカウント
※ 平均標準報酬月額→(イメージとして)平均月給を基準として計算。賞与は含めない。
※ 平均標準報酬額→(イメージとして)平均月給と、賞与を含めて計算。

障害基礎年金の支給要件(原則的なもの)

次の①~③の3つ全てに該当したときに支給
①「初診日に国民年金の被保険者」あるいは「初診日に国内居住の60歳以上65歳未満の者で被保険者であったもの」
②障害認定日(※)において、1級か2級の障害状態にあること
③保険料納付要件(※)を満たしていること

(※)障害認定日
原則は、「初診日から起算して1年6カ月を経過した日
例外的に「上記の期間内に治った症状が固定し治療の効果が期待できない状態を含む)場合は治った日」とする場合があります

1年6カ月経過日より前に治った(症状固定)とされるケースは、下記のような場合です。
「人工透析療法を行っている場合は、透析を受け始めてから3カ月を経過した日」
「喉頭全摘出の場合は全摘出した日」
「切断または離新による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金または旧法の場合は創面が治癒した日)」
などです。詳細は日本年金機構のHPをご覧ください。

(※)保険料納付要件
【原則】
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)があるときは「保険料納付済期間+免除期間が3分の2以上」であること
【特例】
初診日が令和8年4月1日前にある場合で、かつ初診日において65歳未満である場合は、初診日の前日において、 初診日がある月の前々月までの「直近1年間に滞納がない」こと

障害基礎年金の種類

上記に記載した原則的な「本来支給の障害基礎年金=障害認定日による請求」以外にも障害基礎年金の種類がいくつかあります。その内、代表的な「事後重症」と「20歳前障害による障害基礎年金」について記載します。

事後重症の障害基礎年金

障害基礎年金の支給要件②の要件が該当しない場合(つまり、障害認定日で障害等級1級か2級に該当しない場合)でも、その後65歳に達する前までの間に状態が悪化した時に支給されるケースがあります。それが「事後重症」の障害年金です。
「事後重症」として請求する場合は、65歳に達する前(65歳の誕生日の前々日)までに請求(老齢年金を繰上げ受給した方を除く)する必要があります。

チェックポイント

事後重症」の請求は65歳(誕生日の前々日)まで(老齢年金を繰上げ受給した方を除く)です。
さかのぼっての支給がないタイプで、請求月の翌月から支給となります。その為、一般的には請求は早いほうがいいということになります。ただし、状態が急速に悪化しているような場合であればしばらく様子をみたほうがいいでしょう。というのも一度認定されると悪化した場合の額改定請求は原則1年経ってからしかできないからです。

20歳前障害による障害基礎年金

20歳前に初診日があった場合で、障害認定日に障害等級1~2級に該当すると支給されます。
基本的に国民年金の強制加入期間は20歳以上60歳未満です。20歳前に初診日があるというということは、国民年金加入前となり、保険料を支払っていなくても受給できる福祉的な年金となります。
その為、他の障害年金とは異なる支給制限があります。例えば、本人の前年の所得が一定額を超えた場合や海外に居住した時などに支給制限があります。

支給の開始時期

● 本来支給の障害基礎年金(原則的な障害認定日による請求)の場合
障害認定日(1年6箇月経過した日or症状が固定した日)の翌月分から支給
但し、時効があるので、さかのぼって受けられる年金は5年分が限度です。

●事後重症の障害基礎年金の場合
請求月の翌月からとなります。65歳に達する前(誕生日の前々日)まで老齢年金を繰上げ受給した方を除く)に請求する必要があります。
その為、請求が遅くなると受給開始時期が遅くなります。さかのぼりの支給はされません

●20歳前障害による障害基礎年金の場合
認定日が20歳前であれば20歳に達した日の翌月分から支給
認定日が20歳後であれば、障害認定日の翌月分から支給
但し、時効があるので、さかのぼって受けられる年金は5年分が限度です。

障害厚生年金の支給要件(原則的なもの)

次の①~③の3つ全てに該当したときに支給
初診日 (※) に厚生年金保険の被保険者であるもの(国内外居住不問、年齢不問)
障害認定日(※)において、1級~3級の障害状態にあること
保険料納付要件(※)を満たしていること

(※)初診日
障害の原因となった傷病について、はじめて医師または歯科医師の診療を受けた日
【詳細については下記】
・初めて診療を受けた日
傷病名が確定しておらず、異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
・先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日
・過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日

次の①~③の3つ全てに該当したときに支給
①「初診日に国民年金の被保険者」あるいは「初診日に国内居住の60歳以上65歳未満の者で被保険者であったもの」
②障害認定日(※)において、1級か2級の障害状態にあること
③保険料納付要件(※)を満たしていること

(※)障害認定日
原則は、「初診日から起算して1年6カ月を経過した日
例外的に「上記の期間内に治った症状が固定し治療の効果が期待できない状態を含む)場合は治った日」とする場合があります

1年6カ月経過日より前に治った(症状固定)とされるケースは、下記のような場合です。
「人工透析療法を行っている場合は、透析を受け始めてから3カ月を経過した日」
「喉頭全摘出の場合は全摘出した日」
「切断または離新による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金または旧法の場合は創面が治癒した日)」
などです。詳細は日本年金機構のHPをご覧ください。

(※)保険料納付要件
【原則】
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間で国民年金の保険料納付済期間厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む免除期間が3分の2以上であること
【特例】
初診日が令和8年4月1日前にある場合で、かつ初診日において65歳未満である場合は、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの 「直近1年間に滞納がない」 こと

障害厚生年金の種類

上記に記載した原則的な「本来支給の障害厚生年金=障害認定日による請求」以外にも障害厚生年金の種類がいくつかあります。その内、代表的な「事後重症」について記載します。

事後重症の障害厚生年金

上記障害厚生年金の支給要件②の要件が該当しない場合(つまり、障害認定日で障害等級1~3級に該当しない場合)でも、その後65歳に達する前までの間に状態が悪化した時に支給されるケースがあります。それが「事後重症」の障害年金です。
「事後重症」として請求する場合は、65歳に達する前(65歳の誕生日の前々日)までに請求(老齢年金を繰上げ受給した方を除く)する必要があります。

チェックポイント

事後重症」の請求は65歳(誕生日の前々日)まで(老齢年金を繰上げ受給した方を除く)です。
さかのぼっての支給がないタイプで、請求月の翌月から支給となります。その為、一般的には請求は早いほうがいいということになります。ただし、状態が急速に悪化しているような場合であればしばらく様子をみたほうがいいでしょう。というのも一度認定されると悪化した場合の額改定請求は原則1年経ってからしかできないからです。

支給の開始時期

●本来支給の障害厚生年金(原則的な障害認定日による請求)の場合
障害認定日 (1年6箇月経過した日or症状が固定した日)の翌月分から支給
但し、時効があるので、さかのぼって受けられる年金は5年分が限度です。

●事後重症の障害厚生年金の場合
請求月の翌月からとなります。65歳に達する前(誕生日の前々日)までに請求(老齢年金を繰上げ受給した方を除く)する必要があります。
その為、請求が遅くなると受給開始時期が遅くなります。さかのぼりの支給はされません

障害年金の申請

社労士に依頼する場合も多いようですが、自分で申請することも可能です。
・社労士に依頼する場合は、都道府県の社労士会に電話をして紹介してもらう方法、ネットで調べて自分に合いそうな社労士に直接問い合わせてみる方法、NPO法人 障害年金支援ネットワークなどに問い合わせて紹介してもらう方法等があります。
・自分で申請される場合は、お近くの年金事務所に問い合わせてみてください。


※上記情報はR4年2月現在のものです。法改正で内容が変更される可能性がある事をご留意ください。

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