消費者庁への申出

声をあげる先として、私が注目している先は、
消費者庁の中にある「消費者安全調査委員会です。
以下、長文が面倒な方は下記から申出してみてください。
https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/application/

消費者庁と国民生活センター・消費生活センターの違い

 古くからある「国民生活センター」「消費生活センター」に対して、「消費者庁」は2009年にできた新しい組織です。下記の図のとおり役割を分けつつも連携しています。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 1640510184575-wAVge1Laan.png
図:令和元年版「消費者白書」から抜粋https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2019/white_paper_111.html#fn19

前回、消費生活センターに声をあげる方法についてお伝えしました。
私たちが「消費生活センター」に連絡した情報は、PIO-NETという端末に入力され、「国民生活センター」に集約され、各省庁が見ることができる状態になります。そして、国民生活センターで集約された情報は、消費者被害の未然防止・拡大防止等に役立てられています。

一方、消費者庁はというと、冒頭でも書いた通り、設立してまだ10年ちょっとという新しい組織です。
消費者庁の発足当時、私の印象は「画期的なものができた!」というものでした。縦割り行政を解消し、「消費者行政の“司令塔”の役割を果たす」というものだったからです。行政の問題は「縦割りだ」という事がさかんに言われていた時代でした。上記の図にもある通り「すきま事案」に対応するのも消費者庁の役割の一つです。
・・・と長々と書いてしまいましたが、本題にいきます。

 「消費者安全調査委員会」に申出

声をあげる先として、消費者庁の中にある「消費者安全調査委員会」に申出する方法があります。
「消費者安全調査委員会」とは、消費者庁の中にある独立性の高い組織です。被害の発生又は拡大の防止を図るために、生命・身体に係る事故の原因を究明する調査を行っています。

令和元年版「消費者白書」によると、https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/2019_whitepaper_0003_210608.pdf
 調査対象となり得る事故等は、
「公共性」、「被害の程度」、「単一事故の規模」、「多発性」、「消費者による回避可能性」及び「要配慮者への集中」の要素を総合的に勘案して選定し、事故等原因調査等を実施している
ということです。 

家庭用ヒートポンプ給湯機の運転音・振動による被害についての調査

私がこの委員会の具体的な活動内容を知ったのは、新聞記事からでした。近隣住民が設置した「家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生した」との申出事案について調査したものでした。調査結果については下記です。

家庭用ヒートポンプ給湯機から生じる運転音・振動により不眠等の健康症状が発生したとの申出事案 | 消費者庁

 報告書の中には「健康症状の発生に影響する可能性がある因子としては、ヒートポンプ給湯機から生じる運転音のほか、設置状況、住宅固有の音の伝搬特性、個人因子があり、これらが健康症状の発生に複合的に関与している可能性が考えられた。」との記載があります。また「個人因子について」は、「低周波音の健康症状への影響については、個人の気質が関係しているとの議論があり、聞取り調査においても「神経質である。」と非難されたとの主張もあったが、今回実施した調査・分析からは、個人の気質と健康症状の発生との間に関連は認められなかった。」との記載もありました。
リスク低減策として「発症者の健康症状の発生にヒートポンプ給湯機の設置が関連していることは否定できないと考えられる。また、発症者が訴える症状の程度は、日常の生活に支障を来すほどのものであり、関係する行政機関、事業者等において、健康症状の発生リスクの低減や症状の軽減に向けた取組が必要と考えられる。」としつつ、対策として、「設置場所から極力距離をとる」ということも記載されていました。

私は、この報告書を見て「柔軟剤や消臭剤などの被害に似ている」と感じました。「因果関係があるとことは否定できない」としつつ、「避けるしかない」という感じ。神経質だと言われるが、実は「個人の気質との関連は認められず」、「症状の程度は、日常生活に支障を来すほどのもの」であるということ。自分が購入した商品であれば、自分で処分すれば済むことだけど、他人が購入した商品なのでどうにもならない状況。 香害に似ている!

こちらから申出できます。

申出制度 | 消費者庁

私も過去に申出をしたことがあります。申出をして1週間もしない間に「受け付けました」という文書が届きました。
その後、10か月ほど音沙汰がなく、再び文書が届きました。その内容は、「慎重に検討を行ってきたこと」「発生要因や詳細な症状には必ずしも共通点が見出し難く、個別性が高いと考えられる」ということで、「喫緊の調査を行わない」ということでした。また、「今後、類似被害の発生動向を注視する」という事も記載されていました。
期待していたのにショックでしたが、検討はしてくれていたものと信じています。
今後、同じような苦情が増えると、調べてもらえることができるのかもしれません。

ちなみに、申出件数も消費者庁のHPで確認できますが、非常に少ないです。月0~8件程度です。年間でも50件程度です。このような制度を知らない人がほとんどだと思います。利用しないと、もったいないと感じます。
申出書は記入する箇所が多く、調査に協力するにも手間がかかります。そのため、簡単にお勧めができないのも事実です。対応してもらえず、辛い思いをされるだけかもしれません。それを思うと本当に申し訳ない気持ちがします。ただ、声をあげたことは、私は無駄にはならないと信じています。
そのため、今回は「こんな制度があるよ」という程度で。無理のない範囲でご利用くださいね。

タイトルとURLをコピーしました